ワインと王道フレンチにこだわったお店「RESTAURANT L’ESPRIT DE CHEVALIER」さんのオーナー様にインタビュー!!
鈴木さま、本日は宜しくお願い申し上げます。
「RESTAURANT L’ESPRIT DE CHEVALIER」の鈴木亮平です。宜しくお願い致します。
まず初めに店名の由来をお伺いできますでしょうか。
「L’ESPRIT(レスプリ)」はフランス語で魂や精神という意味で「CHEVALIER(シュヴァリエ)」は騎士という意味があります。
元々私の師匠にあたる人が「レストラン シュヴァリエ」というフランス料理店と、フランスワインの輸入業も営んでおりましたが、3年ほど前に亡くなってしまいました。
続きが気になります。
その後、レストランが閉店するという話になって、とても寂しい気持ちになり「僕たちで何か形に残したいね」と同じ師匠の元教わっていた弟子3人で、レストランをやろうと言うことになりました。
うんうん。
その時話をしていた弟子の3人が、私と当店のシェフと支配人になります。
2人は、銀座のエスコフィエという老舗フレンチで長年総料理長と支配人を務めていましたが、これを機に皆で一つの形を表現できるようになるのは何かの縁を感じました。
当時私のお店は”ビストロ”として経営していたのですが、2人の入社のタイミングに合わせて「皆で今まで教わってきたことを形にしたい」という想いから、「RESTAURANT L’ESPRIT DE CHEVALIER(レスプリドシュヴァリエ)」という店名に変更致しました。
なるほど!元々お店はビストロを経営されていたんですね。
ということは、リニューアルオープンされたということですか?
そうです。
皆で師匠から教わったことを形にしていこうと言って、3人が同時に集まれるタイミングで店名と業態を改めて、ビストロからフレンチレストランに全面改装して、席数も30席から16席にしてリニューアルオープン致しました。
シェフと支配人とは元々のお知り合いだったのですか?
元々は私の兄弟子にあたる方々なんですよ。皆同じ師匠の元ワインを教わっており、その縁で昔から知り合いで、今回のレストランのリニューアルに合わせて集まれたんです!
そのような経緯があったのですね!
ビストロのお店も含め開業されたのはいつ頃でしょうか?
ビストロをやっていたお店は2011年にオープンしまして、2021年10月にフレンチに移行しリニューアルオープンしました。
場所はビストロの時と変わっておりません。
コロナの影響はありましたか?
モロに影響を受けましたね…。
コロナの始まりの時はまだビストロでしたが、当時は団体や貸し切りの予約が一切なくなりました。当店も緊急事態宣言を受けて営業時間もしっかり守ってきていたし、未だに完全回復には至っていません。
「レスプリドシュヴァリエ」さんの名物、ウリを教えてください。
月に一回コースを変えているのでスペシャリテなどはありませんが、シェフが毎月旬の食材を使った美味しいコースをご用意しております。
春夏秋冬の中にも季節の始まりと終わりでは旬が違いますし、産地によっても旬は違います。その月毎に旬を表現したいと言っているので、大変ですけど毎月変更してくれています。
月に一回コースメニューが変わると毎回違った味を楽しめそうです!
また料理はもちろんワイングラスにもこだわっております。
当店では、銀座エスコフィエの前社長平田之孝氏が開発した楕円型のグラス『樹-ITSUKI-』を全てのワインに使用しています。
楕円形の底を持つこのグラスで飲んだ味わいは、通常の底の丸いグラスとは違う香りや味 で体感する事が出来ます。 通常のグラスでは注いだ瞬間にボトルの中の味わいが変化してしまい、 本来の味わいではなくなってしまいます。
そのようなグラスがあることを初めて知りましたがとても興味深いです!
私もビストロ時代から愛用しておりました。 このグラスでワインを出しているお店は都内でも珍しいと思います。 是非とも、この樹グラスで、いつもよりも更に美味しくワインを体感してみませんか? 当店の支配人がエスコフィエ時代に開発に携わっていたので、誰よりも熱く「なぜ、香りや 味に変化が出るのか?」についてお話しさせて頂きます。
開発から携わっていたとは驚きです!
一度このグラスで飲んでみたいです!
是非ともお試し頂きたいです!
私たちは樹グラスでワインを飲んで頂くだけではなく、通常のグラスと比較して頂き、ワインの本質を知っていただけるようなサービスも行っております。ちょっと実験みたいで、皆さんびっくりされますけどね。笑
こればっかりは百聞は一見に如かずで実際に体験して頂くのが一番ですね!
メニュー開発などは鈴木様が行われているのでしょうか?
シェフは銀座エスコフィエで総料理長をやっていましたし、60歳の大ベテランですから全て任せております。
最近のフランス料理は素材を大事にしていてよりシンプルな味付けになっていますが、シェフの料理はクラシカルなフランス料理なので、今でもソースを大事にしており、今となってはどこか懐かしく感じるかと思います。
開業までのご経歴が気になります!
どういう経緯で飲食の世界に足を踏み入れられたのでしょうか?
元々は美容師でして、美容師の傍らダイニングバーでアルバイトをしておりました。そのダイニングバーでアルバイトをしていく中で、お酒の楽しさを知った結果、美容師を辞めアルバイト先に就職をし5年ほど勤めました。
元々美容師だったんですね!職種が全く違うので驚きです。
その後は青山にあるレストランカシータというところに少しの間勤め、そのお店にいる間に2010年の南アフリカワールドカップの時に、ワールドカップカフェに出向で店長となり、埼玉の知り合いのレストランで立ち上げの手伝いをさせて頂いた後に自分のお店を開業しました。
師匠の方とはどのタイミングで出会ったのでしょうか?
知人の埼玉の店舗立ち上げの際にシュヴァリエのことを知って、自分で開業してから師匠が毎月主催する『シュヴァリエ講座』というプロ向けのワイン会に参加させて頂くことになったのが最初の出会いです。
そこでテイスティングからワインのコンディションなど様々なことを学ばせていただき私の感性が磨かれました。
なるほど、そのような経緯で師匠の方と出会ったのですね!
私は弟子の中でも最後の方で、当店のシェフや支配人はもっと昔からの付き合いでかれこれ30-40年近くの付き合いがありました。とても偉大な方だったので、お弟子さんの中には、ソムリエ業界で大活躍している有名な方々多数いらっしゃいます。
兄弟子の支配人とシェフがいる中で、鈴木さんはどのような役割を担っているのでしょうか?
私は経営者として現場に出ながら管理や経理面などを担っております。
現在3店舗経営しておりまして、「RESTAURANT L’ESPRIT DE CHEVALIER」の他にもう二店舗経営しています。
一つは隣のビルで「CAVE Ā VINS L’ESPRIT DE CHEVALIER」という角打ちスタイルのワインショップのお店をやっています。
隣のビルとはかなり近いですね。笑
そうなんです。笑
もう一店舗も東中野にありまして、そこから徒歩3分くらいの距離のところで「WINE SALON R」というWINE BARを経営しております。今は立ち上げの時期ということもあり、基本的にこちらの店舗にいることが多いです。
3店舗とも近場にあると管理がしやすそうです!
ゆくゆくは「WINE SALON R」にも管理者を入れて、私は3店舗をぐるぐる回るような感じにしたいと思っております。
ただ、まずは軌道に乗せてからとは思っております。
コロナ禍でこれだけのことに挑戦できる胆力がすごいです。
正直コロナで売上とか心配で怖さはありましたが、コロナがきっかけでシェフや支配人と働くことが出来ました。正直、不安や先行きが見えないところもありますが、10年以上自分のお店をやっている中で今が一番自分のやりたいことが出来ているかなと思います。
これまでで一番大変だった時のエピソードなどがあれば教えてください。
ビストロ時代に料理人が辞めてしまった時ですね。
その時に料理人の採用を掛けていたのですがなかなか見つからず、2年半の間は私自身で料理をしていた時がありました。経験も浅かったので、勉強しながら仕込みから商品開発まで一人で行っていたのですが、楽しい反面とても大変でした。笑
逆に飲食店をやっていて嬉しかったことはなんですか?
単純に自分のやってきたことに感動してもらえることが嬉しいです。自分の経験や体験してきた事に対してお客様に共感してもらい感動してもらえることにとてもやりがいを感じますね。
お仕事のこだわりやポリシーなどはございますでしょうか?
私が考えるビジネスのスタンスは、商売としてお金を稼がないといけないことは当たり前なんですが、お客様が当店に来る意義がないといけないと思っております。
なるほど。
その”意義”を考えたときに、ワインのポテンシャルを120%引き出してあげることだと考えました。家や他店で飲むワインより当店で飲むワインに価値を見出してもらうことは大事かなと。じゃないと私たちの存在意義がないので。
うんうん。
例えば、どんなグラスを使用してとか、どんな知識を伝えてとか、ワインのコンディションを整えて、他の店舗よりいかに美味しく提供出来るかということを日々意識しております。
昔働いていたお店の社長に「商品ではなく体験を売れ」と言われ続けており、その言葉に感銘を受けていたので、今でも常に意識しながら仕事をしております。
「レスプリドシュヴァリエ」さんの今後の展望を教えてください。
先ずは「RESTAURANT L’ESPRIT DE CHEVALIER」を予約が取れない繁盛店にしたいと思っております。
また3店舗それぞれが、ここ東中野で必要不可欠な存在にしていきたいと考えております。
その為に、経営をしていく上での変更点はありますが、この9月から3店舗同時に様々なことを変更致しました。
どのように変更されたのですか?
レストランではフルコースだけだったのですが、ショートコースも新設して最近はランチも始めました。
ワインショップは、ショップ内のカウンターBARを少量からテイスティング可能な角打ちにして、よりワインを選びやすくしました。ここで買ったワインは各店舗に抜栓料で持ち込み可能になっております!
自分が選んだワインを各店舗に持ち込めるのは楽しみが増えますね!
ワインサロンでは、ワインBARとしての日常利用はもちろん、定期的にセミナーやイベントを行っており、新しいワインの発見ができるきっかけを作るようにしています。
それぞれの店舗の役割を明確にした中で、どう”シナジー”を生んでいけるかを考え運営を行っていこうと思っております。
どの店舗もそれぞれの色を出して、フレンチとワインで事業拡大していくようなイメージですか?
そうですね。
店舗経営とは別で、今年はソムリエで最も難易度の高い、ソムリエエクセレンスの試験を受ける予定です。また、並行してチーズプロフェッショナルの資格も取るために日々勉強をしておりまして、総合的にワインやチーズのプロとしてのスキルアップを目指しております。
将来的には、ワインやチーズの輸入などもやってみたいなと思っております。
最後に若者に向けてメッセージをいただけますでしょうか。
好きなもの見つけて好きなものに没頭してみてるのは良い事かなと思います。
没頭出来るものは仕事ではなくても良いと思いますが、好きな事が仕事になれば絶対に楽しいと思います!
鈴木さん、本日は貴重なお時間をありがとうございました!
ありがとうございました!