一から手作りの旨みとコクにこだわった「川越プリン」にインタビューしました!
林さま、本日は宜しくお願い申し上げます。
「川越プリン」の林と申します。よろしくお願い致します。
まず初めに店名の由来をお伺いできますでしょうか。
ここ「川越」は観光地ですので、お客様に検索していただき易いシンプルな店舗名が好いと考えました。
開業されたのはいつ頃でしょうか?
2018年7月11日にオープン致しました。
コロナの影響はありましたでしょうか?
通りを歩かれるお客様は減りましたので影響はありましたが、都内なら30分~1時間で来られる観光地のため、その他の観光地に比べると、流入客数はそれなりにはありました。
ですが、コロナ禍でお店を開けていることでお客様を呼び寄せていることは、近隣の方々に申し訳ない気持ちもあり、自主的に休業していた時期もありました。
コロナ禍の集客の面で工夫されていたことはありますか?
元々通販を検討してはおりましたが、コロナ禍でお店に来られない時期に、ご自宅で当店のプリンを楽しんでいただけたらとの思いから、通販サイトの立ち上げを早めました。
メディアからもお店が取り上げられている様子ですが、お店には影響していますか?
影響は大いにあります。某人気テレビ番組などで取り上げていただいた際や、某アイドルグループが当店にご来店の際などは、翌日直ぐに数字として表れます。
飲食店にはさまざまなお店がありますが、なぜプリンを選んだのでしょうか?
老若男女、プリンが嫌いな方はあまりいらっしゃらないと思います。そのため、広く愛されるスイーツの代表であるとともに、ご家族団らんの際、またお友達で集まった際に、プリンを通して会話が弾み、和む時間を提供できる道具になるとの思いでプリンを始めました。
林様はどのような立ち位置におられるのでしょうか?
私はこの会社の一事業部の担当者です。元々この事業部は小売りをする事業部でしたが、川越の特産品である「川越いも」や「河越抹茶」など、地域に根付いた伝統的な食材があり、
この食材の魅力を生かした商品を作ることができれば、芋農家さんやお茶農園さんが丹精込めて作った食材が美味しいスイーツとなって消費者を笑顔にすることができればとの思いでスイーツ製造を始めました。
弊社の社名「スマイル-リンク」にもありますように、「農家さんからお客様を笑顔でつなぐ」ことが私たちの理念です。
地域のものを使って多くの方々に悦んでいただけるプリンを作り笑顔を広げるためにも、先ずは地元の方々に「私たちの地域に美味しいプリン屋さんができた」を受け入れていただき、次に、ここ「小江戸川越」として人気の観光地を訪れる観光客の方々に、旅の想い出として悦んでいただけることを目標としております。
この事業を遣る前は、駄菓子屋や動物園内の売店など、直営店舗運営を20年近く担って参りました。
なるほど!お店のコンセプトについてお伺いしたいです!
コンセプトと致しましては、先にも述べましたように、ここ川越には素晴らしい食材があり、その特産品の魅力が引き立つものは何か!?を考えました。その答えがプリンだとして、
美味しさにとことんこだわって開発し、消費者に伝えた際に「美味しい」と笑顔になってリピーターとなって広がっていくことが確認できた時、「遣っていることに意義がある」と実感でき、その輪を更に大きくすることです。
なるほど。
昨今のインスタ映え要素として、見た目も可愛らしくするよう工夫しております。
例えば、ここ川越は「伝統的建造物群保存地区」として、歴史的にも重要な建造物が今も多く残されており、街道沿いも「蔵造りの町並み」として風情豊かな建物が並んでおります。
そんな中に当店は店を構えており、「町並み」の景観がブランドであるならばと、当店のプリンにも「屋根瓦風のタグキャップ」を載せて、プリンがショーケースに並んだ光景はまさに「蔵造りの町並み」です。
とは申せ、見た目は二の次! 根底にあるのは「美味しさ」です。ここは絶対に譲れません。
瓦屋根風は女性からみてインスタ映えするのでとてもう可愛らしくて良いですね!
メニュー開発はどなたが行っていますか?
私も含めチーム全体で意見交換しながら開発しております。
消費者目線を突き詰めて、チーム総出で行っております。
皆さんで考案されている大事なメニューなんですね!
パティシエさんがいらっしゃるとのことですが、プリン作りにおいて全工程をお店で行っているのでしょうか?
そうです。牛乳や生クリームなどが店舗に届きますが、卵は殻のリスクがありますので、割卵はせず、国産の卵黄を取り寄せております。また当店では、プリンの風味としては重要なバニラビーンズは天然のものを「莢」の状態で仕入れ、一本一本手作業で莢からバニラビーンズを取り出しております。
このように、原料の調合や撹拌、瓶への充填など全てを職人が工房で一つ一つ丁寧に手作りしているんです。
「焼く」と「冷やす」以外は全てですね!
焼く、冷やす以外は全て人の手から出来上がっているんですね!
皆さんの気持ちがこもった商品ですね!
メニューを考案される際にこだわっていることはありますか?
こだわりについては、やはりプリンの「香り・コク・旨味・なめらかさ」は卵と牛乳、そしてバニラビーンズなどを徹底した時間管理・温度管理の下で作ることで決まります。
このように、正しい分量を正しい時間内で、正しい温度内で作ることでプリンの美味しさが決まるため、メニューを考案する上では、如何に一品一品それぞれの素材の魅力を引き立てつつ、風味豊かな絶品プリンに仕立てるかにとことんこだわり抜き、そこは一切妥協せず、手間暇を惜しまないことです。
実際に厨房でその作業をされているとはプリンの細部にまでこだわっていてすごいです!
先にお話し致しました天然のバニラビーンズは1㎏10万円程の時がありましたが、フレーバーやエッセンスで風味を出すのではなく、しっかりとしたものを使うことで、より美味しく仕上がるのならそこに迷いはありませんでした。
当店のプリンは瓶を底からご覧いただくとわかりますが、バニラビーンズの黒い粒々が沈んで溜まっております。
どうしても焼いている間に沈んでしまいますが、最後まで掬っていただくと粒々を感じるほどたっぷり使用しているところも美味しさへのこだわりですね。
1キロ10万もするんですか・・!!
バニラビーンズ自体、とてもお高いんですね。
是非、川越プリンさんのおすすめのメニューを教えてください!
ベーシックの「川越プリン(なめらか)」は当店プリンの主軸ですが、ご来店されたお客様に「一番のおすすめは何ですか」と聞かれたら、やはり「川越プリン(川越いも)」です。
プリンの生地に川越の特産品「川越いも」を練り込み、その特徴である風味が生かされたご当地プリンです。
通年で販売しているメニューですが、3年前には芋の在庫の関係で、一時売り切れになってしまったことがあります。
川越いもは10月~11月に収穫されて、その芋で1年間過ごしておりますが、一定の期間でしか収穫できないこともあり、年間の注文の流れによってはこのようなことが起きてしまいます。
要は、希少性もある大切な特産品ということでしょうか。
とても芋の風味を感じられて美味しそうですね!インスタグラムを拝見したところ他にもメニューが複数あるようですが、季節もののメニューもあるのでしょうか?
そうですね!レギュラーメニューとは別に夏限定で柚子ゼリーだったり、冬限定でいちごゼリーとかチョコプリンとかシーズン商品もあります。
そうですね!
レギュラーメニューとは別に、夏季限定の「ゆずゼリー」、「マンゴー&マンゴー」や冬季限定の「いちごゼリー」、「チョコ」などシーズン商品もございます。
大変だったことと言えば、やはりコロナの影響ですね。休業もですが、この地域のビッグイベント「川越祭り」がコロナの影響で中止になってしまったことも大きかったです。
当店の前の通りがメイン会場となっていて、それに向けて頑張って準備していた最中でしたので辛かったです。
川越プリンの話ではないですが、2021年の1月、未だ日本の陸地には感染者がいない頃、神奈川県内で別の事業をしていたのですが、客船ダイヤモンドプリンセス号が横浜に接岸されていて、その脇を車で移動中の私には、船窓に佇んでいらっしゃる乗客の姿が見て取れて、ただただお気の毒で仕方がない気持ちでした。
疫病的な恐怖が広がりつつあったその頃でも、ありがたいことに当店には若年層のお客様がご来店いただけておりましたので、「地元に愛される店舗」を謳っている当店にとしては、「こんなご時世に店に人を集めていてよいのか」という葛藤がありました。店を開けていれば売り上げが取れたとは思いますが、果たしてそれでよいのかと悩みました。
確かに最初の頃は、プリンセス号のニュースが日本全体に流れてコロナに恐怖を抱いて見ていましたね。飲食店の方々は判断に苦労されてきたかと思いますね。
逆に嬉しかったことはありますか?
コロナがどんなウィルスなのかがはっきりと分からない恐怖の中で、当店スタッフが毎日頑張って通勤し、感染予防策を取りながら勤めて続けてくださったことです。
また、その頃、あるお客様からいただいたお話ですが、そのお客様は以前、末期でご入院中で食事が喉を通らないご高齢の親御さんへ、日頃は召し上がらないプリンを気分転換にと差し入れたところ、美味しいと言ってお召し上がりになったとのお話しでした。このことにはお客様ご自身も驚かれたようで、最期が近いせいか、お医者様から何でも食べていいとのことで選ばれた当店プリンが親御さんを笑顔にし、ご家族であるお客様の感動に繋がり、再度プリンを求めて足を運んでくださり、当店スタッフにこのお話をしていただいた次第です。
我々は感謝されるようなことは何もしていないのです。
少なからず、当店のプリンが人様の想い出や記憶に残る材料になれたことは嬉しい限りです。
このことは勿論、店舗のみならず事業部全体で共有し、我々の作るプリンで人を笑顔にできた最高の結果として喜びを分かち合いました。ありがたいお話で、此方が感謝したいです。
今後の展望がありましたら教えてください!
現在の川越プリンでは、1日に作ることができるプリンはおよそ1,000瓶ですが、ありがたいことに、拡大するお客様の需要にお応えするためには製造能力を拡大し、お一人でも多くのお客様へ行き届くようしたいと考えております。
私が遣らせていただいている事業全体の話を致しますと、その他の地域でも、その地域その地域にある素晴らしい特産物の魅力を生かした商品を作り、その地域の農家さんの素晴らしさを世に広めるという意味でも弊社の得意分野であり理念なので、今後も様々な形で地域の活性に関わることができたらと思っております。
最後になりますが、開業を考えている若者に向けて一言お願いいたします!
半世紀以上生きていると、「思った時にはもう後悔」ということが多いです。「遣れる時に遣っておけばよかった・体が動くうちに行動すればよかった・あの時に資格を取っておけばよかった・頭が柔らかいうちに覚えておけばよかった」など、思った時には動きたくても簡単には動けないこともあります。自分は信じてこれだ!と思ったことに関しては、実現するために最大限努力することがチャンスを掴み広がる唯一の秘訣なのかなと感じますね。
でも「今が一番若い」んです。「もう遅い」はやめて、「今すぐ行動」しましょう!
林さま、本日は貴重なお話とお時間をいただきありがとうございました!
此方こそありがとうございました!